このコラムは、2006-2008年にAQUENTのサイトにて書かせていただいたものです。サイトのコンテンツ整理にあたり、こちらに転載しています。目次はこちら


第10回「提案力とプレゼン力(3)プレゼン力を高めるには」

前回、「ビジネスパーソンに必要な能力は、提案力とプレゼン力」として、提案力、プレゼン力を取り上げましたが、具体的に、プレゼン力を高める方法について触れてみます。

場数を踏む

やはり「場数」(ばかず)を踏むこと。つまり、繰り返しプレゼンテーションを実践することですが、ただ単に数をこなせばよいというわけではありません。
適切なレビューを受け、それを反映していくことではじめて実力として身につきます。

「今回のプレゼンでは〜について注意してみる」のようにチャレンジするポイントを、欲張らず1つ設定し、1つずつクリアするとよいでしょう。

リハーサルを行う

わかっていてもなかなかできない(やらない)のがリハーサル(予行練習)。しかし、スライド作成よりも、時間をかけるべきはリハーサルです。

形式ばった発表というカタチを取らずとも、友人や仕事仲間を相手にスライドをめくりながら流れを説明することを繰り返すだけでも、余計な説明や足りない説明が見えてきて、ロジック(流れ)を洗練させることができるでしょう。

素晴らしいプレゼンを体験する

多くのプレゼンに接することも欠かせません。
映画『不都合な真実』は、プレゼンテーションを勉強する目的でも一見に値します。グラフィックや映像の素材が効果的なだけでなく、ハシゴなどの小道具なども活きています。

ご参考までに『不都合な真実』では、スライド作成にはKeynoteが使われていますが、Keynoteだけでは完結しない映像がたくさん使われています。Keynoteを使ってからといっても、あのレベルに達するのは用意ではありません。

機会があれば下記の方のプレゼンを目にされることをオススメします。

盗めるところは盗みましょう。
個人的には、太田 良典さん(ビジネス・アーキテクツ)のプレゼンが大好きなのですが、ある意味「芸」の領域に達しており、真似しようと思ってもカンタンにはできないので参考にはならないかも....

最近、セミナーのオンライン配信が増えていますが、やはりライブでは受け取る情報の量が異なります。聞き手の属性だけでなく、反応によっても調整されること、また、その場の空気感みたいなものも無視できないので、その場に居合わせることは重要だと考えます。

イマイチなプレゼンにはアドバイスの視点で

よいプレゼンが勉強になるのはもちろんですが、「イマイチなプレゼン」こそ、勉強できる素材がたくさん詰まっています。

「このプレゼンは〜だった」という単なる批評の視点から、「ここをこうすると、このプレゼンはよくなる」のようにアドバイスのコメントを残すつもりで見てみるとよいでしょう。

本番やリハーサルを音声に残して聞き直してみる

自分の喋りを音声に残して聞き直してみましょう。

など、聞いて見ると発見があるはずです。アナウンサーのように、講談師のように、とまではいかないまでも、少し意識するだけで変わってくるはずです。

なお、普通に喋っているつもりでも、緊張すると早口になります。いつも喋っているスピードより「1.5倍くらい」のゆったり喋るつもりでちょうどよいかもしれません。もちろん、普段、早口だと言われている方は、もっとゆっくり喋るつもりでちょうどよいのです。

自分をビデオ撮影する

ビデオに撮って見てみましょう。これぞ究極の上達法です。

ビデオが手元にない方は、デジカメのビデオ機能や携帯電話で問題ありません。全部を取る必要はなく、60秒でも2分でもOKです。

自分の喋っているところは、実際、なかなか直視できない方が多いでしょう。

といったところに着眼しつつ、もぞもぞと(意識せずに)お尻をかいている、といったことも映像としてプレイバックしてみるとわかります。すぐに直すことは難しいかもしれませんが、意識するだけでも違ってきます。

「小室淑恵の超実践プレゼン講座」(日経ビジネスアソシエ)

日経ビジネスアソシエに連載中の「小室淑恵の超実践プレゼン講座」は、バックナンバーを集めてまで読む価値があるでしょう。

基本的な解説はもちろん、添削形式による的確なアドバイスには、毎回、学ぶべきところがあります。

まとめ

「スピーチ」などの実践トレーニングを踏んでいない多くの日本人は、人前で喋ること自体に抵抗がありますが、大きな舞台だけでなく、小さな会議、マンツーマンの商談でも、ひとつのプレゼンの機会ととらえ、スキルのひとつとして向上させていきたいですね。

このように書いている私自身、毎回、課題を持って取り組んでいます。ガンバリマショー。

下記も参照してみてください。

著者

画像:『Dreamweaverプロフェッショナル・スタイル』表紙画像鷹野雅弘(株式会社スイッチ

写真:鷹野雅弘(著者)Webサイトの構築やコンサルティングを行う傍ら、WebやDTPに関するトレーニングや執筆活動を行う。

できるクリエーターFlash独習ナビ』、『Illustrator CS2完全制覇』など、10冊以上の著書を持つ。

メールマガジン「DreamweaverでWeb標準」を発行。 近著は『できるクリエーターDreamweaver独習ナビ』(インプレス)『Adobe CS3 Web Premium Essential Book』(毎日コミュニケーションズ)、『Dreamweaverプロフェッショナル・スタイル[CS3対応]』(共著)の企画・編集。
『CSS Nite』を主催。